「めん」を知る
麺の味の決め手は木灰汁やかん水
ほんのりと黄みを帯びた沖縄そばの麺は、小麦粉100パーセント。コシや風味の決め手になっているのが、木灰を水に浸した上澄みの「灰汁(あく)」や、
炭酸ナトリウム系の天然ソーダを含んだ「かん水」。小麦粉に加えるとそのタンパク質に作用して沖縄そばならではの弾力や風味を作り出す。また、
沖縄そばの黄みを帯びた色も、それらが生み出すものだ。
1960年以降、薪の利用が減り、木灰の入手が困難になると、かん水を代用した麺作りが主流となってくる。しかし最近は、昔ながらの木灰を使ったそば作り
にこだわる店も登場し、灰汁が生み出す独特の風味を再現している。昔からガジュマルやイタジイ、モクマオウなど堅い木ほどそば作りに適していると言われ、
店の脇にこれらの薪を積み上げている光景も見られる。

濾過した灰汁

木灰と水を混ぜて作る灰汁
幅広、細め、チリチリ
地域や店によってさまざま

本島内だけでも50カ所近くの製麺所があり、麺の堅さや太さなど各店からの細かい要望にも応じているというのだから、多様さには納得がいく。さらに、 麺を語るには本島や離島のそば屋をすべてを紹介しなければならないほどだ。
また、忘れてはならないのが最近の傾向とも言える、海藻や薬草などを練り込んだオリジナル麺の登場だ。各地域の特産品を利用したものが多く、与那原町 のひじきや玉城のもずく、与那国の長命草などが代表選手だろう。さらに、宜野座村にはじゃがいも麺があり、沖縄市にいたってはナマコを練り込んだ 「しっきり麺」というのもある。いずれにしても、長寿県沖縄らしく、体に良さそうな食材が選ばれているのが特徴だ。




油と麺の意外な関係
「全国なま麺類公正取引協議会」によって、定められた「沖縄そば」の定義の一つに、仕上げに油処理が施されていることとある。一度茹でた麺に油を まぶすことを指しているのだが、これは麺の表面に皮膜を作って傷むのを防ぐ役割のほかに、麺を水で締めるというのが、日本そばやうどんなど一般的な「麺」 の在り方だが、茹であげた麺を水洗いせず、油をまぶしそのまま自然冷却するという工程が、ほかの麺にはない沖縄そば独自の食感を生み出しているのだ。